鎌倉|英勝寺から葛原岡神社へ紫陽花を撮りに

写真日記

6月17日水曜日。
私は、撮影会というものに初めて参加してみた。
この日は鎌倉の紫陽花を撮る撮影会。
集合時間は午前9時、場所は鎌倉駅だった。
この駅に来るには15年ぶりだ。

アラームは午前4時。
ほとんど眠れていなかったのに、不思議とすっきり目が覚めた。
まるで、待ちに待った遠足当日のような気分だ。

身支度に時間がかかる私は、前夜のうちに朝食を作っておく。
そのおかげで思いのほか早く準備が整った。
電車が遅れる可能性も考え、予定より早めに現地へ向かう。
鎌倉駅に着いたのは8時15分だった。

さすがに早く着きすぎたと思ったが、時計台広場で日焼け止めを塗ったり、レンズを悩んだり、すずめにご飯をせがまれたりしているうちに、時間はあっという間に過ぎていった。

やがて、それらしき人たちが次々と集まり始めた。
私は黒いフェイスマスクをしたまま、名乗ることもなく、そっと輪の中へ入った。
自分から挨拶することもなく料金を支払い、列の後ろにつく。
普段の私を知る人が見たら、きっと180度違って見えただろう。
なぜそんな人見知り全開の対応になったのかというと、私以外の参加者は皆、知り合い同士のようにえ
たからだ。 「来てよかったのだろうか……」

そんな不安が頭をよぎり、しばらく頭の中が真っ白になっていた。

後になって思ったのだが、初参加の人間が顔の半分を黒いマスクで覆い、表情も分からない状態で現れたのだから、不安だったのは皆さんの方だったかもしれない。
それでも代わる代わる声をかけてくださった。

人見知りのわりに人懐っこい私は、思ったより早く打ち解けることができた。
その日のメンバーが程よい距離感で接してくださったおかげだと思う。

最初の撮影地は英勝寺。
鎌倉駅から徒歩10分ほどの場所にある。
英勝寺はこぢんまりとしていて、一周するだけならあっという間だ。
しかし私たちは撮影が目的なので、思いのほか長い時間をかけて楽しむことができた。

ビョウヤナギと萩の寄せ植えが特に美しかった。
朝日が差し込む絶妙な場所で、階段の上から見下ろしても、下から見上げても絵になる。

時刻は午前9時半頃だっただろうか。 午後になると同じ光にはならないかもしれない。
けれど、また違った雰囲気になるのかもしれない。

そんなことを考えながら、また時間を変えて訪れてみたくなった。

英勝寺での撮影を終え、次の目的地へ向かおうと出口へ向かったその時だった。
まるでぬいぐるみのような小さなわんこが目の前を横切った。

慌ててポーチからカメラを取り出したものの、時すでに遅し。
撮れたのは、わんこのお尻と飼い主さんの足だけだった。

後日、ベテラン参加者のFacebook投稿を見ると、そのわんこは正面からとても可愛らしく撮影されていた。 次は可愛く撮れるといいな。

このわんこは必ず会えるわけではなく、会えたらラッキーなのだそうだ。
そう考えると、お尻だけでも十分ラッキーだったのかもしれない。

その後、私たちは少し長い坂道を歩き、化粧坂入口から山道を登って葛原岡神社を目指した。 山道を目指し進んでいくと、優しい目をした可愛いわんこに出会った。

本日2匹めのわんこはお顔を撮ることが出来た。
二重まぶたに、白いまつ毛がとても愛らしかった。

わんこと別れたあと、いよいよ葛原岡神社を目指し山道を登っていく。
登る時間はそれほど長くなかったが、道は少しぬかるみ、苔も生えている。
滑らないよう慎重に歩いた。 グリップのあるスニーカーで行って本当に良かったと思う。


登り切った時に見えた空は、とてもきれいだった。


事前に調べた情報では、蚊やブヨが多いと聞いていた。
そのためイカリジン入りの虫除けも用意していたが、結局一度も使わなかった。
日差しが強く、かなり暑かったからかもしれない。


神社の少し手前には、見下ろすと紫陽花ロードが広がっていた。


どう撮ろうか悩んでいるうちに、気付けば皆の姿が遠く小さくなっている。
撮影を諦めて慌てて追いかけたが、その前に、急いで2枚のシャッターを切った。


まだ花が少なかったのか、それとももう終わりかけだったのか。、そんなことを考えながら歩いた。

道の両脇に紫陽花や、百合がたくさん咲いていた。


鳥居をくぐり、皆で参拝を済ませると自由時間になった。

日陰にそっと咲き木漏れ日に揺れる紫陽花たち

縁結びの神様


ハートの札がとても可愛いらしかった        赤い紐で5円や50円(ご縁)が結ばれていた


縁結びの神様の前には、折り鶴がたくさん供えられていた。


この日の最後には講評会があるという。
どんな写真を撮ろうか考えていると、集合の声がかかった。

そして突然「お題」が出された。
同じ場所を全員で撮影し、それぞれの写真を講評会で見せ合うという。
制限時間はわずか10秒。

後で聞いた話によると、あえて突然撮らせ、わざと焦らせるのが狙いだったらしい。
私の写真への評価は、 「んー、こうなるよね」 だった。


              お題で撮った写真│普通すぎる


いつそういう場面が来るか分からないという緊張感の中で常に周囲を見る訓練になった。
これからは、楽しむことは忘れず、そういう意識を念頭に置く時間もつくり撮影してみようと思う。

繰り返せば、次はもっと良い写真が撮れるような気がした。


撮影が終わると、江ノ電で江ノ島駅へ移動した。 昼食は予定どおり「カノコトキッチン」へ。 店内はこぢんまりとしていて、海街らしい雰囲気の食堂だった。 地元で愛されている定食屋さんという印象で、料理は薄味でヘルシー。それでいてしっかりボリュームもあった。 ご飯やビールを飲む手元を撮らせてもらいながら、皆で食事を楽しんだ。

食事の後は近くの集会所で講評会。 数人の方と連絡先を交換し、撮影会は無事終了した。
……となるはずだった。 だが、江の島を目の前にして海へ行かずに帰れるわけがない。

この日ご一緒した方に案内していただき、東海岸から鵠沼海岸まで砂浜を歩いた。
これまで行ったことのない場所だった。 少々潔癖なところのある私のために化粧室探しまで気にかけてくださり、そのさりげない優しさがありがたかった。

ひとつだけ残念だったのは、あれほど晴れて暑かったのに、夕方にはすっかり日が隠れてしまったことだ。 夕景は撮れなかった。 冷たい風が強く吹き、寒いのに湿度は高い。 上着を脱いだり着たりしていたので、周りから見ると忙しない人に見えたかもしれない。

               祖母との思い出は、海の家だった


      飛んで行かないよう砂に埋めてあるのか、このような光景をよく見かける。

右の写真、海好きの間では、通称「白杭」と呼ばれることを教えて頂いた。
夕景は撮れなかったものの、静かな写真を撮ることが出来て良かった。

駅へ向かう途中、案内してくださった方お気に入りの雑貨店にも立ち寄った。
「夏の買い物はここでしよう」

そんな小さな楽しみが、またひとつ増えた。右の写真、海好きの間では、通称「白杭」と呼ばれることを教えて頂いた。

話すことも行動もゆっくりな私。 健康ではあるけれど、体に合わない食べ物も多い。
そのため大人数での撮影会には不安があり、誰かに迷惑をかけるかもしれないと思って、これまで一人で行動してきた。

それでも最近は、老後に楽しみを共有できる仲間がほしいと思うようになった。
好きな街であり、いつか住んでみたいと思っている街で、新しい友達がほしかった。
この日の出会いは、私をまたひとつ成長させてくれたように思う。

人見知りで、臆病で、人と関わることを避けてきた私にとって、大きな一歩を踏み出すきっかけになった。 新参者の私を、まるで以前からそこにいたかのように自然に受け入れてくださった皆さん。
この日のことは、きっと忘れないだろう。

たまたまいつもと違うルートで江の島を訪れ、偶然出会ったのが今回の主催者の方だった。

人生、どこでどんな出会いがあるか分からない。
良い出会いばかりではないかもしれない。 けれど、出会わなければ何も始まらない。
今回、勇気を出して参加した私自身を、少しくらいは褒めてやりたいと思う。

あの日の朝、ほとんど眠れないまま家を出た自分に、「行ってよかったよ」と伝えてあげたい。 最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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